ウチではまだ、現役です。
カセットテープです。
僕らの頃は、音楽を録音すると言えば、これでした。
「カセット」は、「小箱」という意味で、磁気テープを収納したことを指します。
それまではオープンリールと言って、テープはむき出しのまま、走行させていました。
でも、こんなコンパクトな形になって、録音用媒体として、爆発的に普及。
全世界で、1000億個も売れたそうです。
この、カセットテープの生みの親、ルー・オッテンス氏が、亡くなったことが発表されました。
94歳だったそうです。
提唱したオランダの会社・PHILIPSで、このオッテンス氏を中心に開発した所、小型で安価、その割りには音質が良いものが出来上がり、PHILIPS社は互換性厳守を条件に、技術を無償公開。
全世界の標準となったそうです。
その思想は、その後、ソニーと組んで提唱した、CDにも受け継がれているんでしょうね。
kiha-gojusan-hyakusan.hatenablog.com
僕がカセットテープに始めて出会ったのは、幼稚園生の頃。
教育教材の通信販売でしたが、再生機もついていて。
それにカセットを入れて、物語とかを聴くわけです。
でも、子供だったので、いろいろいじっちゃって。
必要以上に巻き戻したり、一時停止したり。
しまいには、テープが切れちゃったりね。
二度と再生出来なくなってしまったのも、ありました。
もう少し大きくなると、カセットを分解もしてみたんですが、わかったのは、
「素人は分解修理は無理」ってことかな?
バネのような部品が入っていると、それが失われれば、それ以上はどうしようもないですね。
ゴムとかも、劣化すると、市販品で代用は難しいです。
長さとかも、決まってますしね。
生のカセットテープの長さは、短いのは10分、20分、30分、40分、46分、60分、66分、70分、76分、80分、90分、120分とありました。
46分とか、半端ですが、結構売れ筋だったんじゃないですかね?
実際には、テープにはもう少しマチがあり、概ね数分は、長く録音できました。
ただ、テープにはA面とB面があり、途中でひっくり返す必要がありました。
例えば40分テープでも、連続録音は22分ぐらいだったんですよね。
曲の分数を計算すると、足らなかったり無音部分が出来たり。
その辺の組み合わせは、腕の見せ所で、時間計算が出来る電卓を持って、いろいろ計算して、組み合わせましたよ。
マチを信じて、ちょっとオーバーする曲が、ぴっちり録音できた時は、爽快でしたね~♪
その特性から、「B面の」とか、「C/W:Cupping with」なんて言葉も、流行りました。
シングルだと、メインじゃない曲が、B面に来たわけです。
レコード以来の、仕様でしたね。
人によっては、ラジオの録音に使った人もいたかな。
「ラジカセ」なんて、組み合わせたがる日本人好みの製品を、僕も持ってましたよ。
結構いろんな機能があって、無音部分を検知して頭出しが出来るとか、テープの最後まで来ると、自動的にひっくり返す(正確には走行を逆転させ、読み取りヘッドも回転させて、裏面を再生します)、オートリバースなんて機能も。
スーパーの販促用などでは、そもそもエンドレスで回り続けるテープなんてのも、ありました。
逆に、サーバーなどのバックアップ用途では、実はテープは優秀で。
保存可能な耐用年数は、実はディスク系の倍もあります。
今でも、バックアップにテープを使う所は、多いと思いますよ。
もう一つ、カセットは再録音が可能でしたから、新曲が出たら、重ねて録音が可能でした。
新曲が短いと、最後の方に、重ねた曲の最後が残ったりね。
それこそ、ラジオなんかは何度も何度も録音し直して、テープが擦り切れるほど、聴いたんじゃないですかね。
保存版には、ツメを折っておくと、録音が出来なくなりました。
また録音したければ、折ったツメの代わりに、セロテープを貼れば良かった。
物理的に、判断していたんですね。
逆に、擦り切れるほど聴いてはいけないのは、パソコンのプログラム。
昔はプログラムも、カセットテープに保存していました。
音楽と同じ音声データで、プログラムを記録していたわけです。
市販のソフトも、ありましたよ。
でも、音楽は多少欠けたって、音質に影響はないですが、プログラム目的となると、1ヶ所でもデータがおかしくなると、おしまい。
ラジカセをつないで、市販のテープで、って環境だったので、品質には限界があって。
読まして別のことをしてたのに、帰ってきたらエラー、なんてことも、しばしばでした。
こんなコンパクトなカセットの中が、全世界に音楽を届けた。
カセットテープの功績は、人類史レベルで、非常に高いものだったと思います。