「ピ」!
こんな記号あるんか!?と思いましたが、あったんです。
場所は碓氷峠。
かつては線路の真ん中にギザギザのレール(ラックレール)を敷き、車両側の歯車をかみ合わせて、急な坂を上り下りする方式でした。
よく聞く「アプト式」です。
坂を上るときは推進力ですが、下りるときはブレーキとして機能しました。
言ってみれば「エンジンブレーキ」ですかね。
ただ、車両数が増えてくると、機関車だけではブレーキ力が足らなくなったため、それを補助するための、歯車を持ったブレーキ用車両(緩急車と言います)に、この「ピ」が付きました。
「ピブ」、後に「ピフ」「ピ」などですね。
語源は小さな歯車、「Pinion(ピニオン)」からです。
実際には制動手(ブレーキマン)が乗務して、汽笛を合図にブレーキ操作を行っていたそうです。
また、車両はブレーキ力を増すために、おもり(死重)を積んでいましたが、「重い方がいいんだったら…」とばかりに、多客期は乗客を乗せたそうで、座席などが付いた車両もありました。
電気機関車牽引になったときは、客車暖房用の蒸気が出なくなるため、そのためのボイラーを積んだものもあったそうです。
歯車がなければ、「ヌ」が付くところですね。
kiha-gojusan-hyakusan.hatenablog.jp
実際に、ブレーキ力が向上して、歯車によるブレーキが不要になると、歯車を外して「ヌ」となった車両もあるそうです。
まぁ、その「ヌ」も、あまり長く活躍した車両ではないですけどね。