対岸の、12番線。
新宿駅です。
209系1000番台です。
写真では、区別はつかないけど、現地ではすぐわかります。
「音」が、全然違います。
要は、「うるさい」のです。
今はトランジスタの技術が進化して、音は小さくなりましたが、この頃の「GTOサイリスタ(Gate Turn Off)」は、大きな音が出るのが特長でした。
京浜東北線や横須賀線、川越線などの他、りんかい線、小田急線、東急線など、各線で使われていましたね。
昔は、VVVF(Variable Voltage Variable Frequency)インバータと言えば、このGTOサイリスタという素子が使われていました。
「大きな走行音なんて、鉄道ファンしか喜ばない」のに、敢えて使ったのは、「誘導電動機」を使うため。
それまでの直流モーターは、制御は難しくありませんが、モーターの回転部分に電流を流すために、擦れる部品があり、定期的なメンテナンスが必要でした。
保守に大きな手間がかかったんです。
一方、誘導電動機は、電磁誘導の原理を使うので、回転部分に触るものが、ほとんどありません。
しかも、小型で丈夫なので、小型化も出来るし、その分を出力アップに当てることも出来ます。
小型で軽く、出力も高く、保守も楽♪と、鉄道会社にとって夢のような、誘導電動機なんですが、今までのように、モーターを細かく制御しようと思うと、電圧や周波数を、細かく制御する必要があります。
これが難しくて、それまで実現しなかったんです。
また、誘導電動機を動かすには、それまで鉄道では、動力にはあまり使っていない、三相交流電源が必要。
直流からなら、三相交流に変換する、インバータが必要になります。
また、新幹線や九州など、日本には交流電化区間もありますが、単相の交流から三相交流への変換装置は、まだ実用化されていません。
一度直流化してからインバータを通すなど、いろいろ苦労もあったようです。
ようやく実現した、VVVFインバータと誘導電動機の組み合わせに、各鉄道会社が飛びつき、今はさらに新しいものを除いて、ほぼ、VVVFインバータ制御になりました。
先のGTOサイリスタは、電流を高速に入り切りするための素子で、整流や出力制御の、根幹をなす部品です。
GTOの場合は、逆電流を当てて、電流を打ち消す、という動作で、切断を実現するらしいです。
それも、今はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)という、パワートランジスタが主流になり、すっかり静かになりましたね。
なので、先の209系のGTO車は、今では非常に珍しくなりました。
関東だと、あとはどこだろう。
りんかい線も、機器が更新されたようですし。
この209系1000番台も、今進行中の、中央快速線のグリーン車は組み込まれないでしょうから(そもそも、E233系にグリーン車を組み込む工事のための、予備としての起用らしい)、もってあと3年かな?
会う確率は35分の1で、非常に低いですが、会えた時は、GTOサウンドを堪能したいと思います♪