小田急1000型のうち、通称1500形と呼ばれるグループがあります。
特徴は、コレ!
そう、ワイドドア編成です。
扉、おっきいでしょ~!
幅は2mもあります。
平成初期、ラッシュ時の混雑緩和のため、鉄道会社は主に、2つの方法を考えました。
一つは、多扉車。
こんな感じのヤツ。
通常、日比谷線車両は3扉です。
でも、特に混雑する編成両端だけ、5扉にしたのが、この車両です。
当初は、有利な方式とされました。
扉が多いと、車両全体としての開口スピードは速いですからね。
ただ欠点として、整列乗車を妨げる、という点がありました。
実際にはオール3扉車と共通の運用だったので、日によって、5扉が来たり3扉が来たりする。
客としては、最初から増設扉に並ぶわけには行かず、5扉車が来ると、当然列が乱れたわけです。
小田急と、同じ東京メトロでも東西線は、この点を嫌い、このワイドドアを選択しました。
もちろん、扉の開くスピードは変えられませんから、完全に開くまでに時間がかかるという欠点は、あります。
でも、ワイドドアだと、扉の位置としては従来車と一緒ですから、整列を乱すことはありません。
それはそれで、効果はあったわけです。
ただ、この大きな扉は、ただでさえ少ない座席スペースを、圧迫することになりまして。
かつては全開したんですが、今はここまで。
これ以上、開かないようになっています。
これでも十分、大きい扉ですが、少し客席スペースが拡大しています。
そして今…
多扉とワイドドアの論争は、新たな設備の登場で、その明暗を分けることになりました。
「ホームドア」です。
ホームドアは、駅での人身事故防止には非常に有力な設備です。
でも、多扉車は扉の位置がどうしてもずれるため、ホームドアの設置が難しいのです。
そのため、今は鉄道会社はできる限り、扉の位置を揃える策を打っており、合わない車両は急速に廃車が進んでいるのです。
一方、ワイドドア車はホームドアの開口部を多少広げてやれば、対応可能。
この編成はもうしばらく、そのまま残ることになるでしょう。
小田急の場合は、2m幅のワイドドアは広すぎたものの、一定の効果は認めており、その次の2000形は、標準よりも広めのドアを採用しました。
いろんな兼ね合いで決まるので、爆発的な普及はわかりませんが、ワイドドアは混雑緩和には、一定の効果があるとは言えるでしょうね。