旅の1日目。
夕食後、父の提案で、腹ごなしの散歩を兼ねて、駅近くのコンビニへ行くことに。
真っ暗な海。
でも、台風が来るとは思えないほどの、凪でした。
灯火の影が、海に映ります。
暗いけれど、海があることは、わかります。
でもね…
このまま海岸を歩いても、駅には着かないんですけどね。
「海辺を歩きたい!」なんて言うから…。
真っ暗な海と言えば、思い出すのはもう20年近く前、天橋立を旅行した時でした。
さあ帰ろうかって時に、大きなミスを一つ。
荷物をコインロッカーに残したまま、改札を通ってしまったのです。
慌てて戻って取り返すも、1本逃してしまいました。
当時、天橋立から舞鶴方面に東進し、小浜線を敦賀に抜けて、特急と寝台特急、それも個室寝台!で、帰京するはずでした。
でも、地方路線は1本逃すと、挽回しようがない。
結局、敦賀までしか到達しませんでした。
福井県です。
でも、当時は夜行列車が他にもあった。
数時間待った真夜中の2時頃、新潟行きの急行「きたぐに」が停車することがわかって。
出費はかさむけど、それで帰ることにして、さぁそれまでどう過ごそうか?
居酒屋って気分でもなかったので、とぼとぼと、海まで散歩することにしました。
敦賀の海には、「気比の松原」という景勝地があって、その名の通り松がたくさん植わってるんです。
でも、海に着いたら、本当に真っ暗!
灯りも何もなく、潮騒の音で、なんとか海とわかるぐらい。
松林も風で不気味に揺れ、ホント不気味な海だったのです。
足がすくむほど、怖かったですね。
そんなところにいつまでもいられないので、とっとと退散しました。
ただ、悪いことばかりかというと、そうでもなくて。
敦賀にとどまったおかげで、気比の松原を一応は見れたわけで、三大松原制覇の一つになりました。
「三保の松原」は小学校の修学旅行で、「虹ノ松原」はずっと後ですが、訪れています。
それに、寝台券はフイになってしまったけど、「きたぐに」号は583系という、珍しい寝台電車。
後にも先にも、この時しか乗ったことがありません。
貴重な機会となりました。
とは言え、今、もう一つ思うことは…
「拉致されなくて、よかったな…」
それくらい、不気味で真っ暗な、海だったのです。