「シ」の記号も、2つ意味がありました。
電車や気動車、客車と言った“旅客系”の車両に付くと、食堂車になります。
もちろん、「ショウドウのシ」ですね。
「マシE26形」と言う客車がありました。
42.5t以上(47.5t未満)の重い車両ですから、“マシ”な食事が、出たのでしょう。
「カシオペア」ですから!
「ナシ20形」は、36両も作られたそうです。
デザートが梨だったかどうかは、知りません。
過去には「カシ36形」というのも。
冷房装置改良でこうなったそうですが、お菓子を売っていたかどうか?
「スシ24」では、寿司は出たかも知れませんね。
スシ24 1号車。
「トワイライトエクスプレス」に使われていました。
電車からの改造で、「北斗星」にも似たようなのが使われてました。
ただ、食堂車のメニューはそもそも高いし、長距離列車でないと連結されてなかったり、連結してても営業してなかったり(客用機器の運転のためなどに連結)。
時刻表の上で、乗ったつもりになるのが精一杯の毎日でした。
唯一利用したことがあるのは、こちら。
といっても、当時はまだ、デジカメを持ってなくて。
この写真の頃は、既に改造され、消滅してたんです。
787系「つばめ」
九州は鹿児島路に現れた、格調高い特急でした。
所要は確か、3時間半だったかな?
この編成に、「サハシ787」という車両が、連結されていました。
過去、「サハシ」と言うと、急行列車の座席合造のビュッフェ車。
簡易な調理設備を持ち、旅のひとときに彩りを与えていました。
「そば屋さん」や、「寿司バー」の車両も、あったそうですよ。
この車両も、火を扱うような本格設備こそありませんでしたが、電子レンジを持ち、温かい食事が、チャオ飯中心だったかな?いただけたのは、大いにありがたい存在でした。
実家が鹿児島にあった時代があり、何回か利用しましたが、最初は少々硬かった「つばめレディ」も、時が経つにつれて、良いように熟れてきて、空いているときは、素敵な笑顔で声をかけてくれたり。
旅の思い出として、深く刻まれていったのでした。
食事は席に持ち帰ることも出来ましたが、その場にも窓に面したカウンターがあって、そのまま頂くことも出来ました。
この路線、特に八代以南の不知火海や東シナ海の景色が、何とも言えず素晴らしくて。
この素晴らしい景色を眺めながら、グラスを傾けつつ、お食事やおつまみをいただく。
豪華な食堂車は、過去にも今にもたくさんありますが、僕にとってはこれこそが、食堂車「シ」の、最高の思い出なんです。
2003年ぐらいからかな?新幹線の部分開業などがあって、乗車時間が短くなったり、途中で乗換が発生したり。
八代から先は、トンネル中心の新幹線になりました。
代わりに、サハシ787は普通車に、改造されていきました。
残念ながら、飲食を楽しむ列車も空間も、失われてしまったのです。
それから10年。
九州の鉄道を大きく変えた、水戸岡鋭治氏が、こんな車両をデビューさせました。
「おれんじ食堂」
八代から水俣、出水経由で、川内まで運行する「肥薩おれんじ鉄道」が、観光列車として登場させた、ダイニング&エンターテイメントカーです。
同社の車両は国鉄の形式を踏襲していませんので、「シ」の記号こそありませんが、食事は極めてハイレベル!
しかも、この夕景です。
感動の、いつまでも乗っていたい、列車でしたよ。